DOAJっていったい何?収録されるための条件とは

こんにちは。お役立ちコラム編集部です。
最近、日本のジャーナルでもオープンアクセス誌(OAジャーナル)が増えています。
2025年度から内閣府の方針により、公的資金による研究成果の即時オープンアクセス義務化が始まったこともあり、今後ますます加速していくものと思われます。
 
今回はOAジャーナルに付随して、「DOAJ(Directory of Open Access Journals)」というサービスについて紹介していきます。
  • DOAJとはいったい何なのか
  • 自学会のジャーナルがDOAJに収録されるための条件
について解説していくので、よければ最後までお読みください。
 
 

「DOAJ」とは?

「DOAJ」とは、イギリスの非営利組織「Infrastructure Services for Open Access」(IS4OA)が運営するOAジャーナルであることを証明してくれるオンライン・ディレクトリ・サービスです。国際的に認知されたOAジャーナルの基準を満たす高品質で査読がされている学術ジャーナルとその論文のメタデータを収録しリスト化して提供しています。
DOAJに登録されることで、優良なOAジャーナルであることを示すことができ、ジャーナルの認知度が向上するとともに、アクセシビリティやオープン性が高められ、それによってジャーナルの利用や投稿数の増加が期待されます。また、収録されたジャーナルの検索機能やジャーナルのメタデータをAPI等で提供しているのも特徴です。
DOAJのトップ画面
DOAJのトップ画面
DOAJが生まれた背景にはハゲタカジャーナルの問題があり、DOAJはハゲタカジャーナルではないOAジャーナルであることを証明する”ホワイトリスト“と言えます。
Web of ScienceやScopusなどではDOAJ収録誌をゴールドOA誌と認定しています。
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ハゲタカジャーナルとは
論文の著者から高額のAPC(Article Processing Charge:論文掲載料)を得ることのみを目的として発行され、査読付きであることを標榜しながら実際には適切な査読を経ていない低品質の論文を掲載するジャーナル。
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ゴールドOA誌とは
雑誌の出版会社が直接運営するWebサイトに、投稿論文をオープンアクセスとして掲載する形式。読者からは料金を取らず、論文を投稿した著者らから掲載料金を得る形で運営がなされている学術雑誌。

どんなジャーナルがDOAJに収録されているか

DOAJが提供するすべてのデータは無料で閲覧、収集ができます。DOAJは、130か国を超える自然科学、医学、社会科学、芸術、人文科学のすべての分野をカバーしていて、2026年1月現在、21,480誌以上のジャーナル(うち、14,000誌ほどがダイヤモンドOAジャーナル)、1,100万件を超える論文記事が英語とその他80の言語で収録されています。コンテンツの1/3は査読付き原著論文または総説論文で、すべてのコンテンツがエンバーゴ期間なしで全文を閲覧することが可能です。
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ダイヤモンドOAとは
読者にも著者にも費用負担を求めず、研究機関や学会、公的機関などが費用を負担して論文を無料で公開するOAの形態。
DOAJ収録ジャーナルTOP画面
DOAJ収録ジャーナルTOP画面

日本のジャーナルのDOAJへの収録誌数は?

日本が発行するジャーナル収録誌数は2018年時点ではわずか19誌でしたが、2026年1月の時点で89誌となりました。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットフォームであるJ-STAGEでは、2025年7月の時点で72誌がDOAJ誌として公開されています。これは、J-STAGEがジャーナルのOA化を推進し、DOAJへの収載に関するコンサルティングを積極的に実施してきた結果によるところが大きいと言えます。
また、J-STAGEのDOAJ収録誌はJ-STAGEの資料TOP画面にアイコンが表示されています。DOAJに収録された登載学会の活動事例やJ-STAGEのコンサルティングの活動状況については、JSTが発行する「J-STAGEニュース」の記事やDOAJのブログにも掲載されているので参考にしてください。
J-STAGE資料TOP画面
J-STAGE資料TOP画面

DOAJに収録されるための条件は?

DOAJに収録されるためにはまず以下の基本要件を満たすことが必要です。
  1. 全ての記事が、購読料やエンバーゴ(公開遅延期間)なしで、即時に無料でアクセス可能であること。OAジャーナルであること。
  1. クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)または同等のライセンスが明記されていること。
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      クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)とは
      米国を拠点とする国際NPOであるCreative Commonsのプロジェクトおよびその提唱しているライセンスのこと。
      詳細は以下の記事をご覧ください。
      ライセンスマークの一例
      ライセンスマークの一例
  1. どこからでもアクセスできる専用のWebサイト(URL)とホームページを有すること。
    1. DOAJサイトから直接ジャーナルサイトにリンクできること。
    2. Aims & Scope、投稿規定、編集委員会、ライセンス条件が同じWebサイトで公開されリンクできること。
    3. 明確で簡潔、見つけ易く使い易いこと。
  1. 以下の情報がオンラインで公開され、ジャーナルのホームページから簡単にアクセスできること。
    1. オープンアクセスポリシー
    2. Aims & Scope
    3. 編集委員会(全委員の名前と所属機関の最新情報)
      1. 編集委員会は、適切な資格と専門知識を持つ少なくとも5名の編集者で構成される必要があります。
    4. 著者向けの指示
    5. 編集・プロセス  
      1. ピアレビュー プロセスの種類と詳細を Web サイトに明確に記載すること。
    6. ライセンス条件
    7. 著作権規約
    8. 課金情報(提出料、編集処理費用、論文処理費用(APC)、ページ料金、カラー料金)
    9. 出版社情報
    10. ISSN (国際標準逐次刊行物番号) を少なくとも 1 つ有し、ウェブサイトに表示すること。
  1. すべての記事について出版前に査読を経ていること。
    1. 各記事は少なくとも 2 人の独立した査読者によって査読されること。
  1. 公開されるコンテンツに適用される著作権条件が明確に記載され、Web サイトに適用される条件とは区別されていること。
  1. 「学術出版における透明性とベストプラクティスの原則」を遵守していること。

「学術出版における透明性とベストプラクティスの原則」とは?

先ほどの条件の最後に出てきた「学術出版における透明性とベストプラクティスの原則」とは一体何でしょうか?
これは、出版倫理委員会(COPE)、OA学術出版社協会(OASPA)、医学編集者世界協会(WAME)が定めた会員申請の審査基準として利用されているオンラインジャーナルやデジタルポスティングのための一般的な出版基準です。2013年に第1版が公開され、2022年9月に改定版として第4版 “Principles of Transparency and Best Practice in Scholarly Publishing” が公開されました。
改定された学術出版における透明性とベストプラクティスの原則(16項目)を「ジャーナルの基本情報」「出版・運営体制」「権利・ライセンス・料金」「編集・倫理・査読」「アクセス・マーケティング」の5つに分類し、以下にまとめました。

ジャーナルの基本情報

ジャーナル名

ユニークであり、他ジャーナルと簡単に混同されないジャーナル名であること。

Webサイト

ウイルスやマルウェア対策といったセキュリティ面に注意を払い適切にサポートおよび維持すること。https を使用し、すべてのトラフィックを https 経由でリダイレクトすること。
次の項目を明確に表示すること。
  • Aims & Scope
  • ジャーナルの対象読者
  • ジャーナルが出版を検討する原稿の種類(たとえば、複数の出版や重複出版は許可されない)
  • 著者資格の基準
  • ISSN(印刷版と電子版)

出版・運営体制

発行スケジュール

ジャーナルの発行頻度を明確に記述し例外的な状況がない限り発行スケジュールを守ること。

アーカイビング

ジャーナルコンテンツの電子バックアップおよび長期デジタル保存に関する計画を明確に示すこと。

所有権と管理

ジャーナルの所有権と管理に関する情報をジャーナルのWebサイトに明確に示すこと。

諮問機関

編集委員会またはその他の諮問機関のメンバーはジャーナルの目的と範囲に記載されている主題分野の専門家として認められていること。メンバーリストは最新のものであるとともに、メンバーはサービスを提供することに同意していること。

連絡先情報

編集者のフルネームと所属、住所を含む編集部の連絡先情報をジャーナルの Web サイトに掲載すること。

権利・ライセンス・料金

著作権

公開されたコンテンツの著作権条項は、Webサイトとコンテンツに明確に記載されていること。著作権条項はWebサイトの著作権とは別のものであること。

ライセンス

ライセンス情報はWebサイトに明確に記載する。ライセンス条件は、公開されたすべての論文(HTML および PDF)の全文に表示すること。CCライセンスが使用されている場合、そのライセンスの条件は、CCライセンスのWebサイトの正しいライセンスにもリンクしていること。

課金情報

論文処理料金(APC)、ページ料金、編集料金、カラー料金、投稿料、会費、その他の付帯など)をWebサイト上で明示すること。料金がない場合は、その旨を明確に示すこと。

その他の収入

ビジネスモデルや収入源についてWebサイトに明確に記載すること。

広告

広告を認めるかどうかを記載すること。認める場合、広告ポリシーを記載すること。

編集・倫理・査読

出版倫理および関連する編集方針

ジャーナルは、出版倫理に関するポリシーを持っている必要がある(COPEのコア・プラクティス・ガイダンスなど)。これらは Webサイトに表示すること。

ピアレビュー

査読の有無、査読の実施者(外部の専門家や編集委員会のメンバーなど)、査読プロセス、査読手順に関するポリシー、例外規定などを明示すること。

アクセス・マーケティング

アクセス

誰もが自由にアクセスできないコンテンツがある場合は、アクセスを取得する方法(登録、購読、ペイパービュー料金など)を明確に説明すること。印刷物などが利用できる場合は関連する料金とともに明確に説明すること。

ダイレクトマーケティング

原稿勧誘を含むダイレクトマーケティング活動が適切に行われ、提供する情報が読者や著者の誤解を招くものでないこと。
 
以上が学術出版における透明性とベストプラクティスの原則ですが、特殊号あるいは臨床症例報告ジャーナルや会議議事録、データジャーナルなどについては追加基準があるので、詳しくはこちらをご覧ください。

DOAJに収録を申請する際の注意点と手順は?

DOAJに収録を申請するには、DOAJ収録の基本要件を満たしていることとジャーナルが「学術出版における透明性とベストプラクティスの原則」に従っていることが必要です。
さらに、
  • ジャーナルが積極的に学術研究を発表していること
  • ISSN (国際標準逐次刊行物番号)が登録されていること
  • 年間少なくとも 5件の研究論文を発表していること
  • 主な対象読者は研究者または実務家であること
  • 新しく創刊されたジャーナルの場合はDOAJ に申請する前に、1 年以上の刊行の実績、もしくは、少なくとも 10 件以上の論文を掲載していること
が必要です。
 
申請はオンラインの申請フォームからできます。
ただし、申請フォームの内容が不正確であったり回答欄に空欄があるような場合は自動的に却下されてしまうので注意してください。
 
申請から決定までの期間はジャーナルの連絡先および申請者の対応により異なりますが、通常は3か月以内に決定が下されるようです。申請が却下された場合は申請を却下した理由を記載したメールが届きます。DOAJから特段の通知がない限り、却下の通知日から6か月間は同じジャーナルに別の申請を提出することはできません。
また、ジャーナルの情報が虚偽または誤解を招くものであることが判明したらDOAJは発行者からの今後の申請を最大3年間許可しないことがあります。また、DOAJは、優れた出版慣行に従っているジャーナルのみを受け入れるので、審査の結果で出版社がベストプラクティスを遵守していない、パブリッシングプラクティスに問題がある、などが判明した場合も今後の申請を最大3年間認めないことがあります。
すでにDOAJに受理されているジャーナルでもDOAJの基準または出版のベストプラクティスに準拠していないことが判明したら削除されることがあるので、DOAJに受理されたジャーナルはそれらについて保持している情報が最新であることが重要です。
なお、申請にあたってはDOAJに掲載されているGuide to applyingで最新情報を必ず確認してください。

まとめ

DOAJに収録されるためには、完全なオープンアクセスジャーナルであることを前提に、透明性・信頼性・継続性を備えた学術出版体制が求められます。
今回は、DOAJの概要、主な収録要件、「透明性とベストプラクティスの原則」、さらに申請時の注意点を大まかに紹介しましたが、少しでもDOAJの理解に役立てば幸いです。
DOAJは、ジャーナルの信頼性を国際的に示す重要な指標の一つです。OA化を進める学会・出版社にとって、DOAJ収録は大きな意義を持つ取り組みと言えるでしょう。
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