学会運営におけるインボイス制度の対応とは?

2023/02/28

こんにちは!SMOOSY導入・運用コンサルタントのささがせです。
約2か月に1度のペースで更新しているSMOOSYスタッフブログですが、今回は特別編として、2023年10月1日から始まるインボイス制度について、事業者(学会様)として必要な対応とSMOOSYでの対応についてご紹介いたします。

はじめに

適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。売手(学会様)が適格請求書を発行することで、課税事業者にあたる買手(会員の所属機関または法人会員など)は仕入税額控除を受けることができます。
※仕入税額控除については「国税庁のインボイス制度の案内用リーフレット」をご参照ください。

インボイス制度への対応は任意とされており、国税庁が公開している「基本項目チェックシート(登録編)」や各省庁による「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」等を元に事業者で対応要否を判断するようになっています。そもそも学会運営においてインボイス対応が必要なのか、どういった準備をすればよいか、ご不明な点もあるかと思います。

そこで、学会運営におけるインボイス制度への対応と、適格請求書を発行するために必要な準備についてご案内します。

学会運営におけるインボイス制度への対応

消費税に関わる新制度ですが、学会から会員へ請求する年会費は不課税である場合が多いかと思います。しかし、以下のような場合には学会様においても適格請求書の発行が求められる場合があります。

  • 冊子の購読費用やイベントの参加費など課税対象となる商品を請求している
  • 会員の所属機関や法人会員が支払いを行っている

つまり、課税事業者である機関が支払い、課税対象となる請求書を処理する際は適格請求書が求められます。学会の発行する請求書がインボイス制度に対応していないと、会員は仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。

そのため、所属機関(所属する大学や所属する企業)が支払っている個人会員や、課税事業者にあたる法人会員がいる学会様におきましては、会員からインボイス制度への対応を求められるケースがあると考えられます。

適格請求書を発行するためには

インボイス発行事業者の登録申請

適格請求書はインボイス発行事業者として登録を受けた事業者のみが発行できます。そのため、事業者(学会様)では、事前にインボイス発行事業者の登録申請を行う必要があります。登録申請の方法は 学会様での対応ーインボイス発行事業者の登録申請 をご参照ください。

インボイス発行事業者の義務

インボイス発行事業者になると納税義務のほかに、以下の義務が課せられます。

  • 取引の相手方(課税事業者に限る)の求めに応じて適格請求書を交付する義務
  • 値引きなど対価の返還を行った場合、適格返還請求書を交付する義務
  • 交付したものに誤りがあった場合、修正した適格請求書を交付する義務
  • 交付した適格請求書を保存する義務

インボイス発行事業者がこれらの義務に対応するため、SMOOSYのように請求書を発行するシステムではインボイス制度への対応が求められます。
SMOOSYでのインボイス制度対応については SMOOSYのインボイス制度対応 をご参照ください。

学会様での対応ーインボイス発行事業者の登録申請

事業者(学会様)でご対応いただく、インボイス発行事業者の登録申請についてご説明します。

<申請期限>

制度が開始する2023年10月1日から適格請求書を発行するためには、2023年9月30日までの申請が必要です。
※以前は2023年3月末が期限でしたが2022年12月23日に手続きが柔軟化され、困難な事情の記載がなくとも9月30日までの申請は2023年10月1日が登録日となります。今後、変更される可能性もあります。

ただし、適格請求書に記載が必要な「登録番号」は、申請後に送られる「登録通知」に記載されています。申請から登録通知が届くまで一定の期間を要しますので、余裕を持って申請することをおすすめします。

<申請方法>
  • e-Tax

パソコンやスマートフォンを利用して国税庁のe-Taxから申請する方法です。申請から登録通知までの期間は約3週間で、登録通知をデータで受け取ることもできます。
※e-Taxの利用には電子証明書(マイナンバーカードなど)の取得が必要です。

  • 郵送

管轄地域の「インボイス登録センター」に申請書などを書面で郵送する方法です。申請から登録通知までの期間は約1か月半となっています。
提出書類は各地登録センターの詳細ページで確認できます。

<免税事業者へのご留意点>

免税事業者の学会様におきまして、インボイス発行事業者となった場合には消費税および地方消費税の申告・納税義務が生じますのでご注意ください。

SMOOSYのインボイス制度対応

SMOOSYでは、インボイス制度に向けて以下のシステム対応を予定しています。

適格請求書の様式に変更

SMOOSYから発行する請求書をインボイスの様式に合わせて変更します。SMOOSYから発行する請求書に、インボイス発行事業者の登録番号・適用税率・税率ごとに区分した消費税額など、適格請求書に記載が必要な事項を表示することで、適格請求書として発行できるようにします。

▽画面イメージ【適格請求書】
※黄色でマークしている箇所が追加となる項目です。開発中のため変更になる場合があります。

 

請求書発行履歴機能を追加

写しの保存義務への対応として、会員・事務局で請求書を発行した履歴を記録します。また、既存の請求情報ダウンロードファイルに税区分や消費税額などの適格請求書に準じた情報も出力されるようになります。

▽画面イメージ【帳票発行履歴】
※開発中のため変更になる場合があります。

※その他、返品や値引きに伴う適格返還請求書の交付、修正した請求書の交付も義務づけられていますが、現在、請求書の修正は請求情報の再作成またはSMOOSYシステム外でご対応いただいているため、これらの対応は対象外とさせていただきます。

さいごに

適格請求書は、年会費等の請求書を発行するシステム(弊社サービスで言うとSMOOSYやConfit)での対応だけでは発行することができません。学会様によるインボイス発行事業者の登録申請が必要となりますので、インボイスへの対応有無をご検討いただき、お早めのご準備をお勧めいたします。
インボイス制度対応に関するリリース時には、SMOOSYサイトの最新情報にてお知らせいたします。

また、弊社の学術大会支援サービス Confitでもインボイス制度への対応を予定しています。Confitでの対応についてはConfitスタッフブログをご覧ください!

それでは、また次回お会いしましょう!