J-STAGEでも使える!論文を読むのが捗るブラウザ拡張機能2選!

本記事はAtlas Journal Caféに2024.08.21に投稿した記事の内容を一部改訂して再公開したものです。
こんにちは、ジャーナルサポート担当の井津井です。タイトルがいわゆる釣りタイトルみたいですが、今回は、J-STAGEで論文を見るときに使える、最近見つけたブラウザ拡張機能をご紹介します。今回紹介するブラウザ拡張機能はどれも無料ですが、インストール、利用についてはご自身の責任においてお願いいたします。
 
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Google Scholar PDF Reader

Google Scholarが提供するChrome拡張で、論文PDF全般が非常に読みやすくなります。
Chromeウェブストアのページでも「論文が劇的に読みやすくなります。」と強気に謳っているだけのことはあります。
まず、この拡張機能がない状態でJ-STAGEの論文PDFをChromeで表示すると、以下のようになります。ページをスクロールして読んでいく、見慣れた画面ですね。
次に、同じ論文のPDFを、Google Scholar PDF Readerで表示すると、以下のようになります。
ぼかし加工のため分かりにくいかもしれませんが、同じ論文の全く同じ箇所を表示しているのに全然違って見えますね。主な違いは以下の通りです:
  • 論文の章立てにしたがって目次が左側に表示され、各見出しをクリックすると、右側の本文表示エリアがその見出しにジャンプする。
  • 本文内の「Table 1」などの図表番号や、引用文献「[24]」の箇所にリンクが張られる。図表番号のリンクをクリックするとPDF内の該当する図表の掲載箇所にジャンプし、引用文献をクリックすると画面キャプチャのようにその引用文献の要約がバルーンで表示される。内容は、Google Scholarでの検索結果画面相当の情報で、文献によっては直接全文PDFにアクセスすることもできる。
このPDF自体には目次や図表、引用のリンクは一切設定されていないのに、Google Scholar PDF Readerによって「自動的に」このように表示されるのがスゴイところです。仕組みとしてはPDF内を解析しているようなので、PDFの作りによってはこの機能が有効にならない場合もあります。おそらく、冊子をスキャンして作成したPDFには使えないかもしれませんが、最近の論文PDFであればほとんど問題ないと思います。
ここに紹介した以外の機能もありますので、ぜひお試しください。

GetFTR

もう一つ紹介するのはGetFTRのブラウザ拡張機能です。Chrome、Firefox、Edgeで利用可能で、今回はChromeで試してみました。
GetFTR(Get Full Text Research)は、論文の全文に簡単にアクセスできるようにするサービスです。例えば、論文検索サービスで検索した後の検索結果一覧画面では、各論文の全文が実際に読めるかどうかは一つ一つクリックしないとわかりませんでした。GetFTRを使うと、検索結果画面内にボタンが表示され、各論文の全文の閲覧可否が一目でわかるようになります。
元々GetFTRはPubMedやGoogle Scholarなど特定のサービスに対応していたのですが2024年8月に、サイトを問わずブラウザで表示されるDOIの文字列すべてに対応されました。これによりJ-STAGEでも使えるようになったというわけです。
GetFTRを使ってJ-STAGEでの引用文献を見てみましょう。以下は引用文献にそのDOIを記載している論文の画面です。
引用文献のDOIの横に何やら見慣れないボタンがいくつか表示されています。ボタンの種類としては以下のようなものが確認できました。
  • full-text is open access
  • full-text is freely available
  • This document has been updated
最初の二つは、その論文がオープンアクセス、もしくはフリーアクセスで閲覧可能であることを示し、ボタンをクリックすることですぐその論文を見ることができます。また、最後の一つ(画面キャプチャでの「⚠」マーク)は、引用文献に書かれたDOIの記事に、その後エラータなどの更新があったことを教えてくれます。これはなかなか便利ではないでしょうか。
ただ、J-STAGEでの対応は正式なものではないためか、実際にはオープンアクセス記事であっても「full-text is open access」ボタンが表示されないこともありました。なにか表示条件があると思われますが、詳細はわかりませんでした。とは言え、すべての引用文献についてリンクをクリックしなければ全文が読めるかどうかわからないよりは、はるかに便利なので、今のところはこの程度の感覚で利用すると良いでしょう。
ちなみに、GetFTRはオープンアクセスやフリーアクセス以外にも、閲覧者が所属する機関の購読状況を判断してボタンを表示することもできます。今回は研究者目線で、簡単なJ-STAGEの引用文献での利用例のみ紹介しましたが、他にも機能がありますので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
最後に、この拡張機能はブラウザでDOIを表示する際に常に適用されるため、例えばブラウザでGmailを使ってメール作成しているときも適用されてしまい、意図しない表示になることがあります。ご注意のうえご利用ください。
今回は難しいことは割愛して、「お、J-STAGEでも使えた!」くらいの感じで、ブラウザ拡張機能を紹介しました。他にも論文を読むときに便利になる拡張機能があると思いますので、皆さんもぜひ探してみてください。

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