少しの工夫で学術大会の参加者を増やす!効果的な情報発信のコツ

こんにちは、学術大会グループの小林です。
学術大会の運営に携わっていると、「もっと多くの参加者に来てほしい」「演題登録数を増やしたい」と考えることは多いのではないでしょうか。実は、情報発信の方法を少し工夫するだけで、参加者数を大きく増やせる可能性があります。
今回は、弊社が年間500以上の学会様と関わる中で見えてきた、効果的な情報発信のコツについてご紹介します。特に、どのようなタイミングで、どのような手段で情報を届けると効果的なのかを具体的な事例とともにお伝えします。
会員に督促メールを送って参加登録者が増えた事例適切に情報発信することで大きな労力をかけなくても成果が出ます学術大会における案内手段ウェブサイトウェブサイトを有効に活用した事例郵送メールSNSやモバイルアプリのプッシュ通知まとめ
会員に督促メールを送って参加登録者が増えた事例
まずは、ある学会様の成功事例をご紹介します。この学会様では、申込み期限が迫っている段階で参加者数が芳しくない状況から、締め切りの10日前に全会員へリマインドメールを送信する試みを行いました。
9月19日の参加登録開始から徐々に申込み数は増えていましたが、11月19日(締め切りの10日前)に会員全員へリマインドメールを送信しています。
結果は一目瞭然です。以下のグラフをご覧ください。

参加申し込み期間:2024年9月19日~11月30日
会期:2024年11月29日~30日
リマインドメールを送ったその日~翌日に大幅に参加登録者が増えています。実はこのタイミングでの一斉メール送信が非常に効果的だったのです。
適切に情報発信することで大きな労力をかけなくても成果が出ます
この事例からわかるのは、「参加したい気持ちはあるけれど後回しにしている」会員が多数いるということです。締め切りが迫っているという情報を適切なタイミングで届けることで、「そろそろ登録しなければ」という行動喚起につながりました。
また、今回の事例では、学会事務局から会員宛てに参加登録を促すメールを配信しています。このことから、大会事務局だけでなく、学会本部と連携して情報発信をすることが大変有効であると考えます。
弊社でもウェビナーを開催する機会がありますが、あまり早いタイミングで申し込みを促しても効果は薄く、期日が迫ったタイミングであることが重要だと実感しています。
また、この対応に莫大な労力をかけたわけではないというのが大きなポイントです。
こうした「小さな工夫」は、学会運営者の皆様が日々の業務に追われる中でも実践しやすいのではないかと思います。
ここからは、様々な情報発信手段の特徴と活用方法について詳しく見ていきます。
学術大会における案内手段
学術大会の情報を参加者に届ける主な手段は、以下の4つです。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。
ウェブサイト
大会ウェブサイトは情報の集約地点として不可欠ですが、「情報を置いておくだけ」では十分な効果を発揮できません。
ウェブサイトは詳細な情報を一元管理でき、随時更新できるメリットがありますが、「参加者が自ら訪れる」ことが前提となるため、重要なお知らせが確実に届く保証はありません。多くの参加者は日常業務に忙しく、定期的に学会サイトを確認する習慣がないこともあります。
そのため、ウェブサイトは情報のハブとして整備しつつ、他の手段と組み合わせることで効果が最大化します。
ウェブサイトを有効に活用した事例
2024年電子情報通信学会総合大会では、大会ウェブサイトのお知らせ機能を効果的に活用しています。例えば、会場へのアクセス方法、プログラムの更新情報、Wi-Fi接続の手順など、参加者に必要な情報をタイムリーに発信しています。
弊社の学術大会支援サービス「Confit」の大会ウェブサイトでは、重要度に応じてお知らせに目印をつけることができるので、忙しい参加者も必要な情報を素早く見つけられるようになっています。

郵送
デジタル化が進む現代では、郵送による案内の必要性は減少傾向にあります。
ただし、高齢の会員の方々やメールチェックが習慣化していない方々にとっては、確実に情報が届く手段です。また、公式性や重要性を伝える際にも一定の効果があります。
印刷・発送コストがかかることや、情報の即時性に欠けるというデメリットがあるため、メールやSNSでのお知らせを基本としつつ、会員層や情報の性質に応じて郵送の活用を検討するとよいでしょう。
メール
作業の手間と即時性のバランスが取れているのがメールです。
一斉送信ができるため、短時間で多くの会員に情報を届けられます。また、状況の変化に応じた情報更新も容易です。冒頭の事例でも効果が実証されているように、適切なタイミングでのリマインドメールは参加登録を促すことにも大変効果的です。
ただし、メールは日々大量に届くため埋もれやすく、開封されない可能性もあります。また、迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクもあります。
これらのデメリットを軽減するためには、件名を工夫する(例:【重要】学術大会参加登録締切まもなく!)、簡潔で読みやすい文面にする、適切な頻度で送信するといった配慮が効果的です。
SNSやモバイルアプリのプッシュ通知
近年注目されているのが、SNSやモバイルアプリを活用した情報発信です。
特に若手研究者の多い学会では、XやFacebookなどのSNSでの情報発信が効果的です。即時性が高く、拡散性にも優れているため、会員以外にも広く情報が届く可能性があります。最近では大会公式LINEを開設し、情報発信をする大会も出てきています。
また、大会専用アプリを導入している場合は、プッシュ通知機能を活用することで、重要なお知らせを確実に届けることができます。会期中の急な変更(会場変更など)を知らせるのにも最適です。

ただし、全ての参加者がSNSを利用しているわけではなく、アプリをダウンロードするハードルもあります。また、若年層と高齢層で情報の届きやすさに差が生じる可能性もあります。
まとめ
学術大会の参加者を増やすには、大掛かりなキャンペーンや特典よりも、適切なタイミングで適切な方法により情報を届けることが効果的です。特に、締め切り前のリマインドメールは、「参加したいけれど後回しにしている」会員の背中を押す効果があります。
各情報発信手段の特性を理解し、以下のポイントを意識して活用しましょう:
- ウェブサイト:情報の集約地点として常に最新状態を保つ
- 郵送:公式性や重要性の高い情報を確実に届ける
- メール:締め切り前のリマインドなど、タイミングを意識した発信を行う
- SNS・プッシュ通知:即時性の高い情報や会期中の変更を伝える
また、一つの手段だけに頼らず、複数の手段を組み合わせることで、より多くの会員・参加者に情報が届く可能性が高まります。特に重要な情報は、少なくとも2つ以上の方法で伝えることをおすすめします。
私たちアトラスは、多くの学会様のお手伝いをする中で、こうした情報発信の工夫が大会の成功につながる事例を数多く見てきました。皆様の学会運営においても、ぜひこれらのコツを取り入れていただければ幸いです。
学会運営でお困りのことがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。私たちアトラスは、皆様の学会活動を今後もサポートしてまいります。
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